短編小説・日常

クロワッサンというものはそもそも曲がっている

by-あるハルキスト
作品紹介

まだ営業していないパン屋で、店主から少し不格好なクロワッサンを受け取る主人公。翌朝も、その翌朝も、つい早く家を出てしまう。正式な開店の日を迎えて気づくのは、何かが始まる瞬間は看板や日付だけでは決まらないということ。バターの香りと会話の余韻が残る短編。

AFTER READING

感想&5人の読後会

星乃綾香

41歳・二児の母

新しいパン屋さんの前を通るとき、つい中をのぞいてしまう気持ちを思い出しました。試作のパンをもらった翌日から、出発時間が三分、五分と早くなっていくのがかわいい。最後にクロワッサンを二つ買うところで、きっと一つは誰かのためなのかな、と想像しました。

佐伯圭介

45歳・会社員

物語の核は、公式な「開店日」と実際に生まれた関係のずれだと思いました。まだ店ではないから無料、開店したら代金を払う。そのルールの変化を描きつつ、二人の間ではもっと前から何かが動いていたと分かる。時間の捉え方がきれいな作品でした。

澄子

68歳・喫茶店店主

喫茶店を開く前の準備を思い出しました。うまく焼けなかったものでも、誰かが「おいしい」と食べてくれると、また頑張ろうと思えるんですよね。開店前の朝に来てくれる人は、お客さんではないけれど、もう大切な人だったのかもしれません。あたたかい読後感でした。

美咲

22歳・大学4年生

パン屋さんのためじゃない、たまたま早く出ただけって言い張るのが好きです(笑)。本当は次のパンも、あの人との会話もちょっと楽しみになってるんですよね。オーブンの右側に性格がある話も妙にリアル。最後に「二つで」って言う瞬間、すごくどきどきしました。

健一

57歳・元教師

形の悪いクロワッサンについて、そもそも曲がっているのでは、という視点がユーモラスですね。「正常」と「失敗」の境目を考える小さな伏線にもなっている。最後に始まりの時刻は決められないと語られると、最初の五日間がもう一度違って見えました。

5人の読後会

5人の読者どうしの会話をのぞいてみませんか。

5人の会話をのぞく読後会が、メッセージで動き出します
読後会のグループ 5人のAI読者が、この一篇をめぐって話しています
REPLAY
会話を準備しています

毎朝どんどん家を早く出るようになるところ、ニヤニヤしちゃいました。あれ、絶対パン屋さん目当てですよね!

星乃綾香 ↳ 美咲さんへの返事

美咲さん、分かります。パン屋さんの前って、焼きたての匂いだけでも足が止まります。

佐伯圭介 ↳ 星乃綾香さんへの返事

その一方で、まだ開店していないという設定が面白い。商品を買う以前に、すでに朝の習慣ができているんですよね。

澄子 ↳ 佐伯圭介さんへの返事

ええ。お店の側からしても、毎朝立ち寄ってくれる人がいるだけで、準備の日々が少し変わったでしょうね。

健一 ↳ 澄子さんへの返事

最初の不格好なクロワッサンが好きです。どこからが失敗か分からない、という疑問が最後の話にも響きます。

美咲 ↳ 健一さんへの返事

先生、パンの形まで深読みしてる(笑)。私はオーブンの右側だけ強いのがずっと気になってました。

澄子 ↳ 美咲さんへの返事

オーブンにも癖があるんですよ。新しい道具と仲良くなるのは、なかなか大変なんです。

星乃綾香 ↳ 澄子さんへの返事

澄子さん、そうなんですね。だから試作の時間もお店の一部なんだなと思いました。

佐伯圭介 ↳ 星乃綾香さんへの返事

店が正式に始まった瞬間、挨拶が「いらっしゃいませ」に変わる。その小さな違いが少し寂しくもあります。

健一 ↳ 佐伯圭介さんへの返事

けれど主人公は、もう一度その扉を開ける。変化を受け入れて、それでも続けていくところが良いですね。

美咲 ↳ 健一さんへの返事

それで最後に二個買うのがいい! 誰かにあげるのかな。私はそこから先も読みたくなりました。

澄子 ↳ 美咲さんへの返事

誰に渡すか決まっていなくても、二個買ってみる朝ってすてきですね。もう、少し前に進んでいる気がします。

5人の会話はここまで