作品紹介
味付け海苔は、そのままでおいしい。では、味のついていない焼き海苔は何のためにあるのだろう。醤油、おにぎり、卵かけごはん。相手によって姿を変える海苔の懐の深さに、いつしか人の生き方まで重なっていく。笑いながら読んで、最後には「完成していない」ことの自由が静かに残るエッセイ。
AFTER READING
感想&5人の読後会
5人の会話をのぞく読後会が、メッセージで動き出します
5人の会話はここまで
味付け海苔は、そのままでおいしい。では、味のついていない焼き海苔は何のためにあるのだろう。醤油、おにぎり、卵かけごはん。相手によって姿を変える海苔の懐の深さに、いつしか人の生き方まで重なっていく。笑いながら読んで、最後には「完成していない」ことの自由が静かに残るエッセイ。
美咲
22歳・大学4年生
最初、焼き海苔にそこまで言う?って笑いながら読みました(笑)。味付け海苔って確かに一枚だけのつもりが止まらないですよね。
でも焼き海苔に醤油をつけた途端、急に役割が見えてくるところが面白かったです。最後の白紙、じゃなくて黒紙、というオチまで好き。読み終わって少し焼き海苔が食べたくなりました。
澄子
68歳・喫茶店店主
うちのお店でも焼き海苔は目立たないけれど、添えるとほっとする食べ物があります。主役にならなくても、誰かの味を引き立てる働きがあるんですよね。
「何もしない」のではなく、「相手に合わせられる」。そんなふうに見直してもらえた焼き海苔が、なんだかうれしそうに思えました。
佐伯圭介
45歳・会社員
面白いのは、焼き海苔の使い道を列挙したあとに、話が「自由」に移るところです。用途が決まっていない自由さは、選ぶ側に判断を求める。だから便利でもあり、少し不親切でもある。
自分の役割を一言で説明できることばかりが価値ではないのだと、仕事の場面にも重ねて読みました。大げさな教訓にしない終わり方も好ましいです。
アオイ
28歳・フリーランス
フリーランスをしていると、「何でもできます」って言った瞬間に、じゃあ何を頼めばいいの?となることがあります。焼き海苔の話なのに、そこを思い出してしまいました。
味付け海苔みたいに最初からキャラクターがはっきりしている人もいい。でも、相手や場所によって形を変えられる人にも良さがある。「余白」が欠点じゃないという読み方が、ちょっと救いでした。
健一
57歳・元教師
海苔の比較というごく身近な題材から、完成とは何か、自由とは何かへと話が広がっていく。その移り方が無理なく、読み手も一緒に考えられます。
特に、最後の白紙と黒紙の言い換えには感心しました。しみじみ終わらせることもできるのに、最後にもう一度笑わせる。文章の力を抜くタイミングがうまいですね。